2015年1月13日火曜日

2015年・小島きみ子と勅使河原冬美の『花と詩』のコラボレーション(1月)

2015年の小島きみ子のフラワーデザインと、勅使河原冬美の現代詩によるコラボレーションです。フラワーアートの制作に伴って、勅使河原冬美さんが現代詩を創作します。お楽しみくださいませ。twitterとFacebookで告知していきますので、お立寄りください。作品はすべと「花と詩」を一対で制作していきます。別々の額装になることもあります。
★作品はそれぞれの作者に著作権がありますので、留意ください。



1月の作品。
ノリウツギ・ライムライトを中心としたフラワーデザイン。
ノリウツギ・ライムライトは、蕾のときは「緑」花が開いてくると「白」秋から晩秋に向けて「薄紅色」になります。作品は白と薄紅色が混ざってきた9月にドライフラワーにしてあります。晩秋11月初めはこのような色です。




この作品は、GIFT用です。
書棚に飾るように、辞書1冊分くらいの厚さの籠にドライフラワーをアレンジしています。
詩は、籠に貼り付けてありますので、縦でも横でもどちらにしても良いです。




小島きみ子のフラワーデザイン
材料:ノリウツギ・ライムライト。センチコウ2種類。ヤイトバナ。
「夏の思い出」







勅使河原冬美の詩

「ライムライト」

ライムライトに囲まれ瞑想する男は来るべき冬と対峙する。
空の旅はタブラの音で。
夏はしばしば危険を犯すなんて常套手段。
魔術を緑にまた彩飾し駆動させる。
懐かしい画素。
日差しが照る舗道へ。
てくてく歩きで行くのだから。

2015年1月1日木曜日

2014年12月に送付された詩誌十冊の画像と紹介文です。

★著作権は放棄していません。無断転載は禁じます。
2014年12月に送付された詩誌10冊の画像と紹介文です。




1.MERAJE(めらんじゅ) Vol.16.
 京都市在住の福田知子さんが編集・発行する、A4版あとがきまで、104Pの詩と評論の雑誌。初めて読む雑誌です。福田さんはfacebookのフレンド。同人で名前を存じ上げているのは、高谷和幸、木澤豊、中堂けいこ氏ですが、同人は12名で高谷氏は同人。お二人はゲストのようです。随想を書いている栗山要さんの2014年10月の「老いの日々」という文章がとても興味深い。とにかくすごいのは、「今のままで良いのだろうか」という疑問が沸き起こること。この随想をプリントアウトしている最中にインクが切れて、カインズへ走るのだ。どうですか?凄いですよ、私の日常のある1日みたいですよ。詩については、やはり福田知子さんの「ふりわけられし 水」他の詩篇が読ませる。詩の中で使われている、「ミケランジェロのヒーメロス(愛の情念)」に少しばかり参っている。ミケランジェロのソネットは、若桑みどりさんの美術評論の中でいくつか読んだが、ミケランジェロは詩が上手いと思う。「愛の情念」、「甘美な記憶」そんな言葉をいつか私も使ってみたいと思う。


2.ネビューラ 第40号
 岡山市の壷坂輝代さんが代表する。同人35人の詩誌。こちらもA4版で、35Pの詩とエッセイ。日傘芙美子さんの「鍵穴がない・17」という作品にとても温かいものを感じた。母の介護をしている介護詩ですが、非常に新鮮な「目」を感じます。癒しの目がものを観ることを詩へと昇華させています。詩の言葉が光ますね。「母は脱いだパジャマを/丁寧にたたみながら/生きることは 死ぬこと/無邪気な声で伝えてくる//(二行省略)何度もおまえを生むからね/後からやってきた声に/まるく包まれて/わたしは頭を垂れている//」

3.樹氷 170号
 長野県上田市で発行されている詩誌。創刊は1952年というからこれも凄い。複数の編集委員により編集・発行されているが、中心は平野光子氏のエネルギッシュな活動による。この詩誌の表紙画を担当する清水義博さんの画のファンですが、彼の詩もまた素敵です。「風景」という詩の中に「礼儀正しい原始/天然のあなたの孤独」という言葉がある。どんな孤独だろう。おもしろい。このつぎお会いしたら訊きたい。誰の事なの?

4.地平線 第57号
 江東区に在住の山田隆昭さんが発行する。詩と書評の詩誌。山田隆昭さんに初めてお会いしたのは、2011年の現代詩人会の「関西大会」の会場、倉敷だった。昼間のイベントのあと、二次会、三次会を経てホテルの玄関まで来ると、月が煌々と輝いていて「月の光って蒼いんですね」というようなことを会話した。月は蒼く美しく輝いて、信州からこんな遠くまで来た甲斐があったと思った。山田さんがそのときとてもいい笑顔で応えてくれて嬉しかった。そんな出会いだった。さて、山田さんの作品。「ふたり」は四連の行わけ詩です。「郵便局に行こう」、「いま 十月の空は抜けるように蒼く」、「大通りに出た」「切手を貼って局員に手渡す」、これはそれぞれの連の1行目です。では、今度は最終行を。「からくり人形みたいだな」、「跳ねたとたん影と別れた」、「歩行の揺れに しばし眠れ」、「ウフフと笑い合っていればいい」。どうでしょうか、十月の空の下を歩行していく山田さんの姿が見えてきましたか?手渡した局員から目ざす人の手に届いたでしょうか。


5.junction 93
 柴田三吉さんと草野信子さんの二人誌。この雑誌を初めて読んでから、いったい何年くらい経つのだろう。1年に4回発行される季刊誌だから、23年くらいとして私の「エウメニデス」が21年。20年くらいの交流があると思う。草野さんとお手紙のやりとりをしてきた。尊敬する先輩詩人のひとり。昨年、初めてお電話で話した。電話で話す、こんな簡単なことを一度もしてこなかったのだが、彼女は穏やかで思慮深くて、理想の先輩女性だった。93号では、柴田さんの「思考する手・指のそよぎ58」の「宮古島1」に注目した。那覇から南へ300キロ、宮古島を訪問したときのこと。山田八郎さんという友人のお見舞いの予定だったのだが、友人は9月に他界した。その方の妻である恵美子さんに、〈南島文化〉という観念のもとにインタビューをする。不躾であるかもしれないが、恵美子さんと島と夫とが培ってきた、風土があるゆえの芸術が明確に現われる。次回が楽しみです。


6.進化論 18.
 佐相憲一さんの個人詩誌。こんなユニークな紙の折り方で届く詩誌は無かったな、と思う。初めて手にする。2015年1月1日の発行日。ご本人の詩とエッセイが6P.受贈詩誌・詩集の紹介ページだけで6P半に及ぶ。表紙。巻頭あいさつ。奥付。これらを4つ折にして畳むとB5版の大きさになる。製本しなくて済むが、A3が印刷できるプリンターが無いと出来ない技。個人が家庭で持っている一般的なPC.プリンターはA4印刷です。詩篇の方は、巻頭の「水神」は行わけの端正な構成ですが、9連52行の長篇です。8連にテーマがあります。「二十一世紀のマグリットがいるのなら/十七世紀の森の人夫の記憶に乗せて/翼のシンボルを/夢のはばたきを/こぶしの叫びを/愛のいろどりを/渓流に飛ばせ







7. 光芒 No.74
 発行人は、斉藤正敏氏。この雑誌の内容は、詩・エッセイ・翻訳詩・講演記録・詩集評・詩誌評・受贈誌紹介・同人の発行書一覧・あとがき。表紙画は内海泰氏。母の死を扱った作品が2点ある、そういう年頃の会員がいるのだろう。肉親の死は、誰にとっても辛い。講演記録は、高橋馨氏の「正法眼蔵隋聞記を読む」です。この雑誌の特徴は、詩集評・詩誌評にかなりのページを割いていて、丹念に読んで評を書くということはなかなかできないことなのですが、そうした努力がこの雑誌への信頼感になっているはずです。詩集評は、斉藤正敏・吉田博哉・本田和也氏、詩誌評は、高橋馨・鈴木豊志夫氏が担当。
読む。評を書く。こうした行為が、詩の書き手を支えているのです。「散文は、詩の邪魔になる」と申された驚くべき先輩男性詩人がいる。


8.同時代 第3次 第37号
 編集人は富田裕氏。これは、「黒の会」の会員なので送られてきます。特集は、「図書館」なので、目次の次にフランス革命期の「王立図書館増築案」の写真が綴じ込みで入っています。それと、パウル・クレーの「さえずり機械」の画と、それに寄せる藤井喬梓氏の同名の楽譜の写真。散文では、武藤剛史氏の「プルーストの読書論」が興味深い。



*フランス革命期の「王立図書館増築案」の写真。パウル・クレーの「さえずり機械」の画と、それに寄せる藤井喬梓氏の同名の楽譜の写真。













9.きょうは詩人 29
 いつも素敵な表紙の雑誌です。小柳玲子さんのあとがきで、昨年9月の「坂本つや子」さんの訃報を知りました。ご冥福をお祈り申し上げます。昨年、私は少しばかり勤務した職場で、小柳玲子さんの画廊で「個展を開いた」という美術家とお友達になりました。

 この雑誌は、広島に在住の万亀佳子さんが送ってくださいます。彼女には、日本現代詩人会の関西大会で倉敷でお目かかりました。あれからもう4年目になります。よき友人に逢う為には、遠くへ出かけていかないとだめですね。そんなわけで、今号の巻頭詩は万亀佳子さんの「心置きなく」です。「どうやってでも葬式は出すから/心置きなく死んでください/そう言ってくれる人がいるから/生きてやるんです/山を背負ってししが突進してくる/」




10. 歴程 no.591

 特集は、「歴程2014 被災地川内村を行く・詩の未来」です。校長は野村喜和夫氏、副校長は井川博年氏。セミナー参加者の連句と詩。巻頭詩は、石田比呂志氏への追悼詩で、田村雅之さんの「さびしおり」です。「曲芸団(サーカス)の/ぶらんこ乗りの/姐ちゃんと/駆け落ちしたいような日の暮れ/そんな玩味あふれる/単独無頼で洒落た/寂栞(さびしおり)の挿しはさまった/歌をかいたひとは/机上に/宛名書きをした一束の/『閑人囈語』の原稿包みを残して/ふいっと隠れた/まるでかくれんぼのように」

 石田比呂志という詩人を私は知りませんが、田村さんのこの詩からは、故人が「ふいっと」現われてくるように思います。