2016年9月18日日曜日

(passion)






豊穣の夏を過ぎて、
森の木の実が、
夜の強雨で落下してくる、
夜明け。
霧と小雨。
霧と霧。
湖水の漣。
水と水。
輪郭を失う。
水の流れ。
落下の音。
ざわめくもの。
飛び立つもの。















絵本の森の精霊よ、
来たれ。














葉を伝う雫、雫、雫。
熟す、木の実。




赤く色づくのは、
自身の子孫のため?
小鳥のため?











おいで、もっと近くへ。
And after many a summer dies the swan.
いく度かの夏は過ぎて、白鳥は死んだ。







そして(あまたの夏ののち)
感受性の内蔵の層は完成される。
おいで、もっと近くへ。













そんな烈しい棘を持ちながらも赤く熟すもの、
イバラの実。
小路を開けて、だれを誘う?











足元で囁くおまえ、
永遠の愛の花言葉を。
変らぬ心を。








だれの言葉を確かめに?
失意と絶望の果てを見るために?







花咲く小路を抜ければ、
天国と地獄、
轟音の果ての、
永遠。






生きつつ、
死につつ、
詩の言葉は、
白い花の枯れるように、
木の肌が青く燃えるように、
蘇生するのだ。