2014年2月1日土曜日

しまわれた、愛


 

不思議ね いつもそうなのだけれど薔薇はお気に入りのものの中にいる 写真の背景 スカーフやハンカチ イヤリングやブローチ 初めて自分でオーダーしたワンピースの柄 子どもの入学祝いにも薔薇を植えた その薔薇で作ったポプリがわたしを深く眠らせる 深く深く心の深奥へと






会えたよろこび 幼い日のわたしたち どうして夢でしか会えないのか あなたは空気のように私をつつんでいる 掌だと思うのだけれど 暖かい掌がわたしの心をつつんでいる 薔薇の香りがする わたしが育った家の庭に咲いていたピンクの薔薇 あの花の香りだと思うあの薔薇はどこへしまわれたのだろう どこにもない 白百合も蘭も れんげつつじも






 

どこへしまわれたのだろう あなたも どこへしまわれたのだろう どこにもいない
不思議ね わたしの子どもと あなたは おない年になってしまった その時も今も 同じようにあなたはわたしの心をつつんでいる あなたは 幼いまま 空気のようなあなたでいる どこかへしまわれてしまったあなたの顔を見ようと 掌の 気配のする場所を 尋ねて行く





その記憶の最後に 辿り着く場所には 小川の 忘れな草の 上を水色の ゼフィルスが飛んでいる わたしは 幼い 心のままに そこにいる わたしは そこにいる自分が 誰なのかも 知っている どうして そこにいるのかも知っている とても 暖かくて 幸せで わたしは 満足している しまわれてしまったものが そこにはあるからだ








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