『詩と思想 詩人集2013』は、現代を代表する詩人たち456人による一大アンソロジーです。(2013年8月31日発行。定価5000円+税です。)小島きみ子の作品は、401Pです。
詩の言葉で、より多くの人々と3.11以後の日本とその社会を考えながら、危機感を連帯しながらも、希望の光を見出したい。そのためにも、新しい詩への感受性を立ち上げたい、そういう気持ちで書きました。
カロライナジャスミンの繁みで 小島きみ子
わたしとあなたは
一つの文字になって溶ける
善意を解き放つ解放区で
魂の深みへ舞い落ちるとき
悪魔の蛇は 誰が 卵を生み
誰が それを孵したか
わたしたちは 都市を守るために
失われた古道を求めて歩いていく
噴水公園の カロライナジャスミンの繁みで
新しい時代の子どもたちが いま 生まれる
なまえのない あなたがたが 瞳をあげて
水のなかを 駆け抜けていく
文字と声が 降りてくる 金曜日
解放区を歩む 人々の背中に
希望の羽を投げよう
きっと 鐘の鳴る丘の 時計塔の前で
鐘の音に
誘われて わたしたちは歩む
ギンドロヤナギが白く波打つ 雨の並木道で
愛の あるところに 神ありと声が降りてくる
プラタナスが 風に翻る日
批評のコードとは
精神の 芯の 危機を知ればこそ
滅びの 陰影を 写し取ることだ
オフィーリアのように
歌いながら 踊りながら
柳の小枝に花冠を掛けて
川を流れていくばかり 川を流れていくばかり
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