小島きみ子詩集『楽園のふたり』|
対峙してくる世界をとらえ、そのざわめきを、怒りを、問いを、歓喜を、くきやかなメロディーラインにして放ってる。限りなく透きとおっていくシンフォニー !
小島きみ子第5詩集『楽園のふたり』を今、読了。虚空と地上。沈黙と囁き。抱擁と喪失。色彩と陰影。邂逅と別れ。戦略と無垢。・・・それら極みから極みへの限りない往還が、伸びやかな空中ブランコの軌跡になって、私の前に広がっていく。
メジロのチュルチュルを、綱渡りする夢遊病者の喘ぎを、ゼラニウムが果てていくサヨナラの合図を、黒い蝉の嘆きの羽音を、遠い物語の水音を、聴くことのできる、何と研ぎ澄まされた柔らかな耳。
それぞれ固有のつましい暮らしの呼吸を終えて、いつか死んでしまう私。わたしたち。薔薇も蝉も蟻もハナミズキもキジバトも・・。父。母。夫。子供たち。恋人や弟や兄や妹や友たちの真あたらしい足音。別れ。怒り。嘆きやおののき。吐息。
単独者の通奏低音のような、自由な優しい魂の鼓動が、わたしの胸にも柔らかく響いて来ています。
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