私のことを、詩人野村喜和夫氏は「高地の詩人」と第3詩集『その人の唇を襲った火は』の跋文で書いてくださいました。第1詩集に、原点があるのですが、1本の木のようで在りたいと思っています。去年、美しい樹形の「わたぼうし」に出会いました。今年も咲いています。
詩集『Dying Summer』より。
六月のまなざしの連詩。
(2)木の声
わたしが、傷を負った者であるとき。
木は光の手でわたしを取り囲み、
癒しつづける。
樹液を濃くしながら、
森の木は全体で呼吸して命を支えている。
つらい出来事も、
わたしを育んでくれた木の下に立てば、
すべては夢であったかと思うように優しく苦く、
新しい光の陰になって過ぎる。
森の命は、
この、朽ちた葉の下に積み重ねられた死の上に立ち。
いずれ、この身も森を支える土になる。
わたしが辿り着く、時間の重さ。
森の木は、
傷ついて帰って来るもののために、
静かに、光の交信を始めている
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