2019年8月17日土曜日

JESUS LOVES MEその2. (わたし)は(わたし)から生まれた


JESUS LOVES ME 
その2.(わたし)は(わたし)から生まれた


ⅰ

夏が過ぎてまた冬がきた。
森の動物たちがまた街にまで現われるようになった。
観光客がサルにモノを与えるからだ。
誤報が相次ぐ。
高校の横断報道をクマが渡って行きました。
まさか。
だれが見たのよ。
私の娘です。
ほんとうに?
はい。
調査してください。
見て。
携帯で撮りました。
これはイノシシでしょ。
いいかげんにしてください。
でも、こんな大きいのは危険です。
そうかもね。でもクマじゃないからね。
報告は正確に。
はい。






ⅱ

そして。
夜がきた。
また、誰かが窓を叩く。
行きませんか?
どこへ。
朗読会です。
どこで?
森の教会です。
ほんとう?
ほんとうです。
だれ?
彼女です。
行きましょう。
はい。
なに?
ホッカイロです。
車、エンジンかかっています。
さ。
わかった、わかった。
それは、密かに尊敬する女性詩人だった。
クリスマス前の少し変わったイヴェントだった。
ちょうど新しいコートを買ったので、それを着て出かけることにした。





ⅲ

また見えてきた。
JESUS LOVES ME
のイルミネーション。
最初に「わたしはわたしから生まれた」が始まった。
床をスリッパで叩くという激しいものだった。
あれは?と隣の人に訊くと
大地との会話さ。と言った。
なんだPじゃない。いつ帰ってきたの?
帰らないよ。まだ滞在している。この邦が気に入ったしね。
へっ。仕事はどうしたの?
柔道を日本人に教えている。
えっ。そんな趣味あったの?
馬鹿な。僕の父はカナダで道場を開いている。
えっ。きょうはどうして此処にいるのよ。
クリスチャンだからさ。あなたは。
彼女に招待されたからよ。
ふん。じゃあ僕らは友だちさ。
前は違ったの?
違ったさ。
・・・・・うるさいわね、あなたたち。
と、隣のとなりの人に言われたので、わたしたちは黙った。






ⅳ
JESUS LOVES ME
彼女がまたスリッパを叩きだした。
アダムの最初の妻リリスは彼を女性上位で愛した。
えっ。なに?
黙って。
黙れふたり。
神は激怒し、リリスを追放し、リリスは北欧の故郷へ帰った。
神は、次に従順なイヴをアダムにあてがった。
以来、ゲルマンの神は女性を地に組み伏して服従させることに成功した。
女性よあなたがたは先ずリリスになりなさい。
えっ。リリスってなに?
あとで。
うるさいぞ。
早く拍手して。
わかった。
この危機的な世界情況のなかで女性は男性などいらないのです。
かのミジンコをみなさい。













ⅴ
JESUS LOVES ME
「わたしはわたしから生まれた」
幕が下りた。
えっ?
いいからきて。
どこへ?
こっち。早く。
どうして?
帰るんです。
どうして?
8時ですから。
なに、それ。
ゲートが閉まるんです。
何の?
森です。
えっ、ここ閉まるの?
当然です。
どうして?
幻だからです。

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