『イギリス風の朝』ジャン=ミシェル・モルポワ著|有働薫訳|思潮社
本文の始めに「三十五年後に・・・『イギリス風の朝』日本語版のための序文」があります。
本文の始めに「三十五年後に・・・『イギリス風の朝』日本語版のための序文」があります。
ここで述べられている短い文章は、日本語での抒情詩のためにもとても参考になります。この本はとても美しい編集です。そのことを著者は「有働薫さんのゆきとどいた誠実さ」と言っています。後半に付録として「リリシズムについてのもう少しの復習」があります。141P.にリリシズムとは、「ギリシャ語では興奮、ラテン語では情熱、ロマン主義では霊感、シュルレアリスムでは抗議、フランシス・ポンジュにおいては表現」と。訳注の次に、ミッシェル・コローのモルポワ論「不確かさのなかで正確に話す」があります。「それでもなお詩をの要請に忠実であることに逆らい、あるいはそれを凌駕する」は、この部分だけでもとても興味深く思います。そして「彼は言葉をあまりにも愛しすぎていて、音節の区切りを尊重しないことができないのだ」は魅力的です。最後に訳者ノートがあります。それに拠ると、ミッシェル・コローのモルポワ論は、2002年11月号「現代詩手帖」に掲載の論考であるとのこと。ここで、有働さんが「(・・・)詩句と散文などの対立を融合する逆接的な二元性、現代では詩がもはや不可能だとする評価を受け入れながらの逆転的あるいは総合的な叙情性の主張に対して沈着な好意ある評価を下して、」という部分にも納得した。
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