twitterのフォロワーさんが教えてくださいました。
1月4日の中日新聞の文芸欄で、エウメニデスⅢ.58号より小島きみ子の「月光」が、担当の北川透氏に取り挙げていただきました。新年よりとても嬉しい出来事です。ありがとうございました。詩人の北川透氏は尊敬する詩人のお一人です。感謝します。
月光 小島きみ子
新月の夜、
Pansy lemon yellow が咲いた、
月の子どもの匂い、
喪われた世界を再び遣り直すために、
月の子どもは新月の光を輝かせた、
おいで此処へ、此処へおいで、喪に服す月の子どもたち。
ツキノヒカリ、ツヨイモノニハツヨクヨワイモノニハヨワク刺した。
何度でも滅びの新月のツキノヒカリ。
呼ばれた? だれに? どうして? どうして此処に来たの?
神はマリアとヨセフを選んだ、
死ぬことが分かっていて生まれる命の尊さ、
イエスの説く愛は新鮮だった、
貧しいものが生きて有ることに希望を見いだすように。
えいえんの愛の暗黒の果ては眩しくて見えない、
闇の前に光は言葉を顕した、
光は形あるものにたくさんの疵をつけて、
光は形あるものにたくさんの疵をつけて、
残酷さと地獄の苦しみを教えた、
言葉は疵だらけになった。
苦しみを味わうものだけが愛を知るように作った、
苦しみを知らないものは滅ぶように、
生きているのに腐っている人間たち、
彼等の身体からは腐臭がただよう、
すでに言葉が死んでいるからだ。
ツキノヒカリ ツヨイモノニハツヨクヨワイモノニハヨワク刺した。
何度でも地獄の苦しみを味わうために、
滅びの新月のツキノヒカリを、
レモンの匂いで刺した。
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