2015年6月8日月曜日

白く鮮やかに

六月は、母が亡くなった月です。命日がやってきます。「白く鮮やかに」という詩は、同じタイトルで2つあります。どちらも、母への追慕です。
アイスバーグという白薔薇が六月には咲きます。今年の六月も咲いています。








白く鮮やかに     




ふりそそぐ夏の光の昼を過ぎて、
急な夕立のあとに母は逝きました。
薔薇が咲く夢のなかで、
朱色の瞼の裏を漂って、
紫の波が押し寄せて、
薔薇の声がした。

(天国には愛があらう。地獄には力がある。)*

私は、私の影と。
小さな黒い箱の中で眠った。
薔薇の瞼を閉じて。
束ねた髪の上には、
月が昇り、
水色の雲が生まれ、
私が草の上に斃れると、
再び薔薇の声がした。

(天国には愛があらう。地獄には力がある。)*

流星が烈しく行き交い手に一つの火を受けました。
目覚めた朝に、アイスバーグの白薔薇が鮮やかに咲きました。

*註。「天国には愛があらう。地獄には力がある。」は、山頭火の言葉。



           


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