2018年12月25日火曜日

第4回 小島きみ子と仲間たちの写真詩展

新年明けましておめでとうございます。
第4回「小島きみ子と仲間たちの写真詩展」2019年1月7日より始まります。
新しい年が、皆様にとって希望に満ちた年でありますように、
ご多幸をお祈り申し上げます。







惜夏   小島きみ子        

束の間の幸福眼を細めている間に
花は咲き 
散り 
枯れ
 

人は
きのうからの一続きあったかように
喜びと絶望の 坩堝のなかに落ちて


もはや  
戻る
ことは
できない
写真と詩のコラボレーション  これは、大きな栗の木です。



第4回 小島きみ子と仲間たちの写真詩展を下記の日程で開催します。

日時 201917日(月)~131日(木)
   午前10時~午後5
会場 パンの花 佐久市下平尾5471tel 0267876318
定休日は、(水、土、日、祝日と124日)
展示 小島きみ子、松田清子、深町秋乃、tomi_tomio、横山克衛。







展示会場のギャラリー「パンの花」





作品展、始まりました。ギャラリーの様子です。

縦長の作品と、続きの額は、tomi_tomioさんの作品。
下の段は、小島きみ子の作品。




深町秋乃さんの作品。




横山克衛さんの作品。




松田清子さんの作品。





深町秋乃作品
1~3
1. モノクロームの写真とテキスト
花は、コスモス。



誰も話さないから  
ここは永遠なのですね










2.シャボン玉


いつか消えてしまうのは
とうに知っているけれど
光を求めて浮遊する
虹の溶けた卵膜は

(まるで
わたしたちみたいだねって)




3.晩夏


仰向けになれば
重ねた水の色を
影踏みしている
夏の終わり
瞳のような氷菓を
その小さな
口の中へ







横山克衛作品 
1.
大きな鉢の中に生まれた小さな黄色いキノコたち





私達がいることは
誰も知らない
それでいい
その方がいい
だから私達は幸せだ







2.

秋の人




川べりの草原で
一人、背伸びして
立ち尽くす
私はここまでやってきた
けれど川の向こうのことは知らない
私はここで花を咲かせ、そうしてやがて枯れるのだ 







tomi_tomio作品






 1.わすれゐし太古のことば夢にたどりなほす
ゐせんの花言葉など


2.


  
 そこにひるがへるくにのはた 
 ふゆのひはあはくともあかるきひるにはあまねく
 ふりそそぐふゆのひの
ねつはちめんにとどまりよるも 
 とほきはるのおもひでをあたためる
 あそこひるがへるくにのはた

 かくもよわきじんみん







3.

  きりぎしに伸びゆくことの
  難けれど
  晝に陽光夜に月光
  





4.

 沼澤に人なくただ風の音するのみの眞晝
 絲蜻蛉ひとつふたつみつ水草の葉に休む
 沼澤に風やんで水面の漣も消えてしまひぬ
 水草の葉の葉脈にうつすらと砂の埃ひかる





5.
あの夏のひの 
ゆふぐれましろき 
むくげのはなゆびさしてゐたひとよ
そのかんばせおぼろ




6.


  冬空や
  見ぬちの清濁
 すひこまれる






7.連作。
  7枚を縦に繋げると、言葉の楯は、悪魔からのバリア。

左から順に1~7まで。


1.

 かつてありし軍靴のおとのわすられて 
 飽食の世のあかるすぎる眞夜



2.

群れず草 
生えてゐる 
死ぬるときは 
ひとり


3.

 ゑのころ 
 ゑのころ 
 ゆれて夜 
 のかぜに 
 ゆれては  
 ゑのころ 
 ゑのころ
 ひかり夜
 のやみに 
 ただよひ 
 ゑのころ 
 ゑのころ 
 語りあふ 
 ことなき 
 わたしに 
 ゑのころ
 ただゆれ 

 あへよ夜 
 の昏きに 


4
 
 どの夏の夕べも 
 凌霄花のあかきに 
 同じ色にちしほ 
 流るる 
 我我の心冷たき
 またときに熱き 
 その不可思議よ


5 

 つたは 
 にぶく 
 ひかり 
 ながら 
 きめの 
 あらき 
 いしの 
 うへを 
 はしる 
 まひる
 くらき 
 さかの 
 したに


6 

今朝見たのかもしれない  
悪夢のことは忘れたが 
豫感といふものが空に映る 
未来の子らの朝朝の夢を 
豫めみたのかもしれない 
れんめんと續く人類の裔の裔がその朝に見るだらう 
天變か地異かそのときの 
空の色は
 



7.

鳩鳩鳩鳩 齷齪ジンルイ

睥睨ス
睥睨ス




   
小島きみ子作品
1.薔薇色の瞼を閉じて


ふりそそぐ夏の光の昼を過ぎて、
急な夕立のあとに母は逝きました。
薔薇が咲く夢のなかで、
朱色の瞼の裏を漂って、
紫の波が押し寄せて、
薔薇の声がした。
(天国には愛があらう。地獄には力がある。)
私は私の影と。

小さな黒い箱の中で眠った。




2.幻の姉

ブルーベリーの、
丘に暮らす、
幻の姉は、
天国から帰って来たばかり。
(私は坂を
まっすぐに行くので、
あなたは
左に折れて行くのよ)
と言って、
消えた。
(お元気でね)
(お姉さんも)
綿飴のような、
小さな手を
振って、
二度と、
振り返りは
しなかった。



3.「惜夏」2.


束の間の
幸福
眼を細めて
いる間に
花は咲き 
散り枯れ
人は きのう
からの一続き

あったか
ように
喜びと絶望の
坩堝のなかに
落ちて
もはや  
戻る
ことは
できない






4.
花と緑の暮らし



私は、
小さな庭を
持っています。
花や野菜に、
花蜂がやってきて、
次々と
花は咲き
散って、
種子を
飛ばして、
限りある命を
終えていきます。
野菜もやさしく
やわらかな実を、
提供してくれます。
花壇の世話をしていて
思うのは、
私たちは
困難を知るために
生きているのだ
と思うのです。
困難を乗り越える
鍛錬を獲得したとき、
物の命の
永遠が
やってくるでしょう。





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