2018年4月3日火曜日

JESUS LOVES ME(2)


JESUS LOVES ME(2)



夏が過ぎてまた冬がきた。
森の動物たちがまた街にまで現われるようになった。
観光客がサルにモノを与えるからだ。
誤報が相次ぐ。
高校の横断報道をクマが渡って行きました。
まさか。
だれが見たのよ。
私の娘です。
ほんとうに?
はい。
調査してください。
見て。
携帯で撮りました。
これはイノシシでしょ。
いいかげんにしてください。
でも、こんな大きいの危険です。
そうかもね。でもクマじゃないからね。
表現は正確に。
はい。
(いいかげんにして)
そして。
夜がきた。
また、誰かが窓を叩く。
行きませんか?
どこへ。
朗読会です。
どこで?
森の教会です。
ほんとうかい。
ほんとうです。
だれ?
彼女です。
行きましょう。
はい。
なに?
ホッカイロです。
車、エンジンかかっています。
さ。
わかった、わかった。
それは、密かに尊敬する女性詩人だった。
クリスマス前の少し変わったイヴェントだった。
ちょうど新しいコートを買ったので、それを着て出かけることにした。
また見えてきた。
JESUS LOVES ME
のイルミネーション。
最初に「わたしはわたしから生まれた」が始まった。
床をスリッパで叩くという激しいものだった。
あれは?と隣の人に訊くと
大地との会話さ。と言った。
なんだPじゃない。いつ帰ってきたの?
帰らないよ。まだ滞在している。この邦が気に入ったしね。
へっ。仕事はどうしたの?
柔道を日本人に教えている。
えっ。そんな趣味あったの?
馬鹿な。僕の父はカナダで道場を開いている。
えっ。きょうはどうして此処にいるのよ。
クリスチャンだからさ。あなたは。
彼女に招待されたからよ。
ふん。じゃあ僕らは友だちさ。
前は違ったの?
違った。
・・・・・うるさいわね、あなたたち。
と、隣のとなりの人に言われたので、わたしたちは黙った。
JESUS LOVES ME
彼女がまたスリッパを叩きだした。
アダムの最初の妻リリスは彼を女性上位で愛した。
えっ。なに?
黙って。
黙れふたり。
神は激怒し、リリスを追放し、リリスは北欧の故郷へ帰った。
神は、次に従順なイヴをアダムにあてがった。
以来、ゲルマンの神は女性を地に組み伏して服従させることに成功した。
女性よあなたがたは先ずリリスになりなさい。
えっ。リリスってなに?
あとで。
うるさいぞ。
早く拍手して。
わかった。
この危機的な世界情況のなかで女性は男性などいらないのです。
かのミジンコをみなさい。
JESUS LOVES ME
「わたしはわたしから生まれた」
幕が下りた。
えっ?
いいからきて。
どこへ?
こっち。早く。
どうして?
帰るんです。
どうして?
8時ですから。
なに、それ。
ゲートが閉まるんです。
何の?
森です。
えっ、ここ閉まるの?
当然です。
どうして?
幻だからです。


0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。