2019年9月17日火曜日

フラワーアート+詩|松尾真由美さんの作品5篇

とてもやわらかで繊細に仕上がった紫陽花ドライ花。
松尾真由美さんの作品とコラボレーションします。
花を、詩篇でラッピングしています。
花と言葉が届く瞬間です。
籠いっぱいの紫陽花。






1.「開花のあてない逡巡の」 松尾真由美 

光と影
その向こう
扉の見えない
充足を
ひらひらと漂いつつ
浮遊と俯瞰が折りあうところ
失態と失速と希求と憧憬
もてあます多重の襞を
一枚ずつひろげていって
おだやかな発展があるのだろうか
花開くことの意味と無意味を充分にくりかえし
季節がめぐれば小舟のごとくまたくりかえす
蕾の儚い夢において
つめたい風が吹き
頸から下が凍えている
予想どおりに敗北すること
衰えを循環させ
転化させ
艶やかな色へ
さらに艶やかに




小島きみ子フラワーアート 黒いスギ箱の花 蓋付き
ドライ花:センニチコウ・紫陽花・エノコログサ。

















花を落ち着かせるために、詩篇の蓋をして、梱包する。

































2.「咲くことの注釈」 松尾真由美

あれは
文字のかたまり
多彩な角度を
出自とする
落ち着いた眼差しの
瞳をいくつも持っている
交信することの難渋さに溺れながら
花びらと花びらを重ねていって
いっとき世界が広がればいい
火の夢と水の夢
それらを
咲かし
枯れていく


黄色い箱の詩篇
素材:シダーローズ・ユーカリドライ葉 他




詩篇とドライ球果実のコラボレーション。













3.「花のゆるやかな輪郭」 松尾真由美 

たわめられ
寄り添いつつ
黄と白とむらさきの
あやうい曲線が晴れやかなる日
歌声のような生体の息吹から
やすらぎを探っている
あるだけで癒される
そうした幸福に招かれて
虚偽ではない透明なものの在り処
触感として
留める


詩とのコラボレーション作品に取り組んで仕上げにかかっています。
紫陽花のドライ花は柔らかい手触りです。詩のテキストで、ラッピングすると、
形が自由に動きます。松尾真由美さんの作品とコラボレーションです。

11本の紫陽花ドライ花」と松尾真由美詩

(注記) 詩のテキストでラッピングされた紫陽花ドライ花。籠の中には11本の水色の紫陽花が笑顔で居ますよ。

解説。 *花のゆるかな輪郭、という詩のタイトルと、紫陽花ドライ花の、しっとりした輪郭が寄り添うのです。


ドライ花のラッピング。
紫陽花のドライ花が、やわらかな布のような手触りで完成して
とても美しい。






籠にアレンジメントします。



詩篇のテキストでラッピング。



ドライ花は、花びらの塊が驚くほど「しなやか」に完成しました。
詩のタイトルとぴったりな、輪郭を見せてくれています。










4.「魅せられたものの木霊」 松尾真由美 

狂えるなら狂えばいい
紅い花片と紅い花片に
入っていって埋もれて
標識などない窓だから
さわやかに触手と触覚
思いのままに巡らせて
肉のよう渦のよう腕の
よう叫びのよう傷と傷
擦りあわせて血を流す
星の見えない夜の月が
ただ煌々と明るくなり
遠いものが近くなって
侵入し侵入され壊され
壊す蘂がただ前進する
晴れやかに晴れやかに
咲くことだけを望めば
稜線が見えなくなって
どこにいるのだろうか
花のきわ花の中花の外
とうに追放されている


黒い箱の中の紫陽花とノリウツギライムライトのドライ花。
ドイツトウヒの木の実。



蓋をして、テキストを付けて梱包する。
花がフワフワしているので、蓋をして梱包すると、スタイルの中に言葉が収まるように、
花も鋭利な言葉のように箱の中に収まる。花と言葉の響き合い。














5.「かすかに触れる明日」 松尾真由美

開きかけた
花びらの
潔癖なまなざしの先にあるもの
およそすべては霧のように霞のように霰のように
茎をよわめる罠のなまなましい放心がある
巻きこまれて萎む前に
ほら
あそこ
ひとつのひかり


黒い小箱 プラスティックの蓋
花の素材:瑠璃薊のドライ花。ムギワラギク。





この画像の瑠璃薊のドライ花を黒い箱に入れてあります。
箱は色を付ける前の状態。黄色い箱と黒い箱に仕上がります。







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