2020年1月26日日曜日

平林敏彦著『戦中戦後詩的時代の証言 1935-1955』(思潮社/2009・1・10刊)


2,009124日の日記より。
平林敏彦著『戦中戦後詩的時代の証言 1935-1955』(思潮社/2009110刊)
樹木の根元が枯葉で埋まって、朱色のピラカンサに小鳥がやってくる朝に、平林敏彦さんの厳しくとも明るい声のする『戦中戦後詩的時代の証言 1935-1955』(思潮社)が届きました。扉の次の写真は玉川の土手に集う十六人の男性と一人の女性の集合写真があります。彼らは思い思いの方向を向いていますが、青年の純な気持ちが滲んでいるようなそこに泉が湧いているような新鮮な美しい塊があります。戦中戦後の物質の困難な時代に「詩」の言葉を心に抱いていることが、暗く厳しい時代を乗り越える手段であったとこの写真の彼らは微笑んでいます。それにしてもみんななんて美しいほほ笑みをこちらに送っていることでしょうか。ここには、クレーの絵にあるような悲しみの天使がいます。青年たちは、このように文学と詩の場所に集い、それぞれが必要とされる場所に散っていった。ここにある文章は平林敏彦という詩人の戦中から戦後の詩的経験に沿って書かれているのだけれども、戦中も戦後も変わらずに生き続けていたのは、詩への愛だったと思う。言葉を励まし、言葉に励まされ、言葉を愛して詩を書き続けてきた人々の言葉への変わらない熱情だった。現在の日本の詩は、ここに集った青年たちの心を受け継いでいるのだと思う。二十一世紀の、手段を選ばずに襲いかかる恐怖というテロに対して詩を愛するものは、美しいほほ笑みを言葉のなかに託して詩を書いていきたいと思った。現実のそこに映される風景がどんなに傷ましいものであろうとも、心のなかに虹を持って生きていきたい。

著書の第15章の扉より。1952年「詩行動」のメンバー。前列右から2番目が飯島耕一。3行列3番目平林敏彦。たったひとりの女性詩人は内山登美子。


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