2020年5月23日土曜日

六月のまなざし(2)木の声


画像に含まれている可能性があるもの:植物、屋外、自然








私のことを、詩人野村喜和夫氏は「高地の詩人」と第
3詩集『その人の唇を襲った火は』の跋文で書いてくださいました。第1詩集に、原点があるのですが、1本の木のようで在りたいと思っています。去年、美しい樹形の「わたぼうし」に出会いました。今年も咲いています。




詩集『Dying Summer』より。
六月のまなざしの連詩。


(2)木の声

わたしが、傷を負った者であるとき。
木は光の手でわたしを取り囲み、
癒しつづける。
樹液を濃くしながら、
森の木は全体で呼吸して命を支えている。

つらい出来事も、
わたしを育んでくれた木の下に立てば、
すべては夢であったかと思うように優しく苦く、
新しい光の陰になって過ぎる。

森の命は、
この、朽ちた葉の下に積み重ねられた死の上に立ち。
いずれ、この身も森を支える土になる。

わたしが辿り着く、時間の重さ。
森の木は、
傷ついて帰って来るもののために、
静かに、光の交信を始めている

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。